なぜラブドールが中華ドールと呼ばれるのでしょうか?
もちろん造形からすべてオリジナルにこだわり、骨組み、関節の仕組み、TPEと呼ばれスキンとなる素材の配合の研究などラブドールに関わるすべての材料を自社で開発を行い、自社で商材画像を撮影する。いった会社もあれば造形や骨組みなどすべてコピーし、TPEは廃棄品のリサイクル、商材画像は違法ダウンロードで盗用して使うなど徹底したコピー商法で価格を正規品の半額以下で販売しているような会社もあります。
正しく運営している会社からすれば一括りで中華ドールと侮蔑を込めて呼ばれることには甚だ遺憾に思っている会社も多いでしょう。
今年も広州のアダルト展に行って来ましたが、本物もコピー品も入り乱れ定番の有名メーカーからコピー品中心の怪しいメーカーまであらゆるニーズに対応している中国らしい展示会でした。
それでは何故この地域(広東省)にラブドールメーカーが多いのか?を考察してみました。
大きな2つの理由があります。
1つはこの地域が元々マネキン製造の集積地であり世界のマネキンの90%がこの地域で生産されている。という事です。マネキンに使う2つの要素がラブドール製造技術とかぶっています。
それはこのマネキン業界で多くの造形師、彫刻師が育成された事。
もうひとつはマネキンの型を作る技術が流用できる事。
利益の少ないマネキン業界から多くの人材がラブドールメーカーに流れ多くの工場を乱立させる要因となりました。
2つ目はこの地域には元々オナホールのOEM工場が多く存在し、オナホールに使うTPEを古くから知らず知らずの内に使いこなしていた事です。各メーカーで独自の配合も研究され日本ではシリコンが発展してきましたが、ここではTPEが独自の発展を遂げておりそのままラブドールのスキンとして採用されると大量に消費されるようになり、一大産業へと発展しました。
広い中国の中でもこの地域に多くの工場がある理由がご理解していただけたと思います。ひとつの産業が興り発展していく過程でパクリやコピーを無節操に繰り返すのは、その商品の衰退を早める事になると思うのですが、そんな熾烈な競争の中で戦い、勝ち抜くすべをもっている会社のみが生き残っていくサバイバルに慣れているのが中国企業とも言えます。
国際基準に当てはめると問題がある部分が多いのですが、手段を択ばず競争に勝つという結果だけみると最強ではないかと恐怖すら感じるのです。
実際にアダルト展をみたところ、昨年までコピードールばかり並んでいたブースに今年はオリジナルドールに切り替えている会社もありました。コピーで培った技術と資本の蓄積によりオリジナル化を進め、何食わぬ顔でラブドールの老舗メーカーとしてうたっているのは常套手段でもあります。
毎年多くの新たな工場が生まれ、競争の結果また多くの工場が淘汰される。これが中華ドールの現状です。